暮らし方

 
新・暮らし方|エコライフ | 和の再発見 | ゆとり | その他
●<シリーズ4>都市で緑とふれあうエコで贅沢なひととき
●<シリーズ3>プラス思考でエコに取り組む
●<シリーズ2>新生活シーズンとライフスタイル

●<シリーズ1>ライフスタイル新世代の登場     

 

シリーズ4

都市で緑とふれあうエコで贅沢なひととき

線路の上に生まれた「成城の農園」
 都市の限られた空間で、より自分らしく生活を楽しむ人々が増えている。中でも、自然との共生や環境への配慮が肌で感じられる、新しいライフスタイルへの関心が年々高まっている。
 都市生活で自然とふれあう場の創出は、行政による取り組みから個人ベースの住まいの緑化などまで、さまざまなアプローチがなされている。現在、農林水産省が主導して推進している、市民農園の利用促進もそんな取り組みの一つだ。
 都市においては緑と直接ふれあえる場所がどうしても限られてしまう。そのため、できるだけ緑に親しむ機会を増やしていこうという取り組みが国を主体として進められているのだ。
 そのような中、緑化による土地の有効活用という点で注目されているのが、今年5月4日のみどりの日にオープン1周年を迎えた「アグリス成城」である。世田谷区西部、小田急電鉄「成城学園」駅前にあるレンタル菜園は、「地下化された線路の上」と言った方がイメージしやすいかもしれない。
 輸送の効率化や、開かずの踏切の解消、静音化などの理由から、小田急電鉄が進めている事業の一環として、成城学園前から喜多見の一部で地下化が実施された。これにより、人工地盤の広大なスペースが生まれ、その利用法についてさまざまな案が出された結果、約5000m2、全300区画ある、都内有数のレンタル菜園が誕生することになった。
 鉄道自体が比較的環境に負荷が少ない乗り物であり、今回の事業によってエコがエコを呼んだともいえる。さらに、成城といえば、閑静な住宅街のブランドとして定着しており、「アグリス成城」が地元に溶け込んでいく中で、街のネームバリューとの相乗効果が生まれていく可能性も予感させる。

コミュニケーションの場としても高い価値

 「アグリス成城」を訪れると、野菜はトマト、レタス、なすといった市民菜園の定番から、めずらしい洋野菜まで、季節ごとに多種多様な植物が区画ごとに植えられ、眺めているだけでも鮮やかで楽しい。
 人工地盤といわれると、どうしても土壌の質が気になってしまいがちだが、軽量土壌と呼ばれる保水性に優れた土を採用しているため、多少放置していても野菜が育つのだという。挑戦してみたいという気はあっても今まで全く菜園の経験がないという方も、これなら安心して始められそうだ。
 気になる農薬だが、無農薬を原則として定めており、環境や健康にも配慮されている。もちろん、無農薬ならではの野菜本来のおいしさや形なども栽培から収穫に向けての大きな楽しみとなる。「アグリス成城」では、菜園を提供する側のエコの理念が、参加する住民の感覚ともうまくリンクして、これまでにない成功をみせているようだ。

 また、「アグリス成城」では、おしゃれなビストロのような2階建てのクラブハウスにロッカー室、パウダールーム、シャワールームなどが備えられ、会員は自由に休憩を取ることができる。落ち着ける雰囲気のラウンジではゆったりくつろぎながら新たな交流も生まれる。晴れた日などはテラスでのんびり日光浴を楽しむといった贅沢もここならではだ。
 毎回の収穫時にはイベントが催され、緑豊かな眺めを楽しみながら自分たちが丹精込めた野菜をその場で料理して食べることができる。また、併設された多目的ホールでは菜園をより体系的に学びたい人たちのためにスクールや講座などが開催されており、今後さらなる発展が期待されている。
 重要なのは、こうしたライフスタイル型の提案が女性にも魅力的に映っている点だ。従来の中高年男性をターゲットとした市民農園では、このようなシステムは見られなかった。また、無農薬という点においても、子どもたちが安心して体感できる「食育」となる。

 野菜などの日常生活に欠かせない作物を自らの手で耕し育てることは、たとえ生産規模が違っても、農業生産者の苦楽が想像できる。このような身近な体験がきっかけになって、世界の食糧事情やわが国の食料自給率が39%という低水準にあることにも、真剣に向き合うことが始まるかもしれない。
 ヨーロッパで古くから存在し、ドイツでは「クラインガルテン」と呼ばれ人々に親しまれてきた都市型の市民菜園だが、日本も農耕文化の歴史を誇る国である。都市に住まう私たちの根底にもそれが受け継がれているとすれば、親しみを感じるのはごく自然なことだろう。エコということすら意識せずに自然とのふれあいが楽しめる「アグリス成城」は、都市の新しい菜園スタイルの一つの方向性を示しているようだ。


 

シリーズ3 エコなライフスタイルを考える

エコなライフスタイルを考えるープラス思考でエコに取り組む

ワザあり。 花の鑑賞がCO2削減にも貢献
 地球市民である私たちも含め、すべての生命は素晴らしい地球環境によって守られている。しかし、その地球が今、温暖化という深刻な危機にさらされている。
このまま地球温暖化が進めば、自然災害の増加や海面の上昇による陸地の水没など、その影響ははかりしれない。地球全体で対策が求められているこの問題は、私たち一人ひとりの実践行動を積み重ねていくことで大きな成果が得られるもの。それと同時に、国やさまざまな産業分野においても温暖化防止への対策が求められている。
 そんな取り組みの中の一つ、二酸化炭素(CO2)の排出を減らすことから一歩進んで、吸収してしまうという取り組みを紹介しよう。

従来の4〜6倍もの CO2を吸収する植物

 花や野菜の品種開発で実績のある「サカタのタネ」が、浦野豊東京大学農学博士(生態工学会理事)との共同研究で、園芸植物「サンパチェンス」の高い環境浄化能力を実証したと発表した。
 サンパチェンスはサカタのタネが開発し2006年から販売している鉢物・花壇用草花で、最大の特長は生育が画期的に旺盛なことと、夏の暑さに強いこと。1株で鉢植えの場合約60
cmになり、露地植えで秋までに約1mの大株になる。今回の実験では、従来の園芸植物に比べて、自動車などの排気ガスに含まれる大気汚染物質の二酸化窒素(NO2)で5〜8倍、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドで3〜4倍、地球温暖化の原因とされるCO2で4〜6倍もの高い吸収能力が実証されたという。さらに、夏の野外でサーモカメラを用いた「打ち水」効果の実験を行い、サンパチェンスの表面温度が従来の園芸植物よりも3.0〜4.5℃低く、気温より2.5℃、地面の温度より10℃以上低い結果を得たという。
 サンパチェンスの地球温暖化防止への貢献の可能性としては堆肥化が注目される。CO2などの温室効果ガスを減らす方法には、排出量を減らすことと、排出されたガスを吸収することが考えられるが、CO2を吸収した植物を堆肥に使って農地に貯留させることで大気中のCO2を減らすことも研究されている。サンパチェンスの場合、従来の園芸植物の約4〜6倍もの炭素固定(CO2吸収)能力があるため、堆肥化すれば農地への炭素貯蓄量を増やすことが期待できるわけだ。

4月より本格販売

 サンパチェンスは、発売2年目ながら、夏から秋まで長く花を楽しめることから国内外で人気を集め、2007年度は約383万鉢(内、国内は20万鉢)流通している。一般の人が家庭で園芸を楽しみながら環境浄化地球温暖化防止に貢献できることも大きな魅力である。CO2を吸収していくというポジティブなスタンスでの取り組みは、今後も注目を集めそうだ。


 

シリーズ2

新生活シーズンとライフスタイル

だれもが人生で何度か経験する新生活のスタート。社会人になる人、上京して学生生活を始める人、転勤する人、セカンドライフを始める人、結婚する人・・・。
今回は新社会人にスポットをあっててみよう。
まず新生活をスタートさせるには、暮らしに必要なものを一通り揃えることから始まる。

家電製品や食器などの日用品、そしてカーテン、寝具、大物ではベッドやダイニングテーブルなどの家具がある。さらにはタオルやパジャマ、日常着など・・・。購入チェックリストと予算管理をしっかりしないと大変なことになってしまう。
ここで最大の課題は各自のライフスタイルをいかに反映させるかである。

かつては(1950〜1960年代)百貨店に行けば家電品から家具、日用品に至まで揃ったが、1970年代頃からはダイエーなどの量販店(GMS)がその役割をにない隆盛を極めた。この後は家具であればIDCやニトリ、ライフスタイルアソートの店舗としては無地良品やIKEAなどが存在感を発揮。
これらの大型専門店の特徴はライフスタイルにこだわったテイストで住を中心にした家具、インテリア、日用品、はては食品や衣料雑貨までトータルな提案を前提にしている。

まちがっても新生活に必要な物が取り揃えてあるという商品揃えではなく、大前提になっているのが、どんなライフスタイルの暮らし方をするのかに対しての提案揃えだという点である。

ここに3月下旬の新聞に折り込まれたチラシがある。無印良品である。ライフスタイルターゲットはポリシーはシンプルライフ志向である。快適志向、そしてバリュープライス志向である。企業がライフスタイルに対してのコンセプトを明確に打ち出し、それに共感する人に対してのメッセージがこのチラシから明確に感じ取れる。


 

シリーズ1

ライフスタイル新世代の登場 

二人の独自なライフスタイルをカタチにした住まい

 東京都大田区。春には駅へと続く桜並木が美しい閑静な住宅地に、今回訪ねた鈴木さんご夫妻の新居はある。
 モノトーンのモダンな外観は、中央が1、2階とも広くガラス面になっており、室内の明るさと開放感にあふれている。こちらのお宅は近年増加しているスチールハウスで、枠材に軽量形鋼を使っているのが特長である。鈴木さんご夫妻は、ご主人がM&Aコンサルタントで31歳、奥さまがWEBマーケティングの営業職で30歳という若いオーナーである。大学時代に知り合った二人は、6年前に結婚、同時に代官山にマンションを購入した。当初から投資目的だったので、この住まいは賃貸に出して、自分たちも賃貸を借りて住んでいた。
 住まいづくりにはっきりとしたイメージを持っていたご夫妻は、早くからシンプルで機能的なスチールハウスが気に入っており、家を建てるならスチール系にしたいと決めていた。具体的な情報もコンクリート系、スチール系など、住宅建築についてカテゴライズされたコーナーを持つ大型書店で探したり、インターネットを駆使して調べたりして絞り込んでいった。その中で遠藤政樹氏のスチールハウスに決めたのが、インターネットで建築家とつくり手をマッチングさせる住まいづくり専門のサイトである。
 こうして具体的に住宅購入計画をスタートさせたのはご主人が28歳のとき。綿密な打ち合わせをとおして基本プランを練り上げ、土地も遠藤氏のスチールハウスを建てるための条件を満たしている現在の場所に決定した。建設地は私道を含め約25坪で、南面が開けている。購入資金は、所有マンションの売却や、金融機関の融資などを含め、全額を二人で調達。建築には約8か月を要した。スタートから完成までの2年間、ご主人のアメリカ長期出張中も含め、月に1回はEメールで遠藤氏との打ち合わせを続けた。 
 遠藤氏によれば、20代後半から30代前半までに、住宅の購入計画をしっかりと立てて実行する層は着実に増えているという。そして、彼の設計するスチールハウスを選ぶのも、ほとんどが若年層ということだ。今回設計を担当した鈴木さんご夫妻の場合は、当初から住宅の選定がスチールハウスに絞られているばかりでなく、二人が描くライフスタイルのイメージにブレがないため、内容の濃い打ち合わせができたと振り返る。
 ご夫妻は、将来にわたって自分たちのライフスタイルを明確にイメージしており、それを着実に具現化しているようだ。

洗練されたハイクオリティな空間


玄関からのながめ。愛犬用の食事・寝床は奥に設けられており、水栓までついている。


ご夫妻が自分たちの住まいをつくるにあたって最もインプレッションを得たのは、ご主人が出張で訪れた北欧、コペンハーゲンだという。
 室内の配色は、1、2階、らせん階段とも白を基調としながら、ダイニングとキッチンを隔てる壁には黒が配され、床はグレーのタイルとなっている。天井と壁のほとんどは白だが、正面奥の壁だけはブルーグレーでアクセントになっている。ご夫妻も気に入っている場所だ。
 居住空間のメーンである1階は、玄関ドアを入ると、薪ストーブとらせん階段、そしてリビングスペースが視界に入るレイアウトだ。玄関からダイニングにいたるまで段差がなくタイルの床がフラットに続き、天井は開放感あふれる吹き抜けになっている。2階には浴室と、将来的に個室としてフレキシブルに使える収納ルームがある。このゆとり感と空間のクオリティは、都心のシンプルモダンなハイイメージのラグジュアリーホテルと比較しても引けをとらない。同程度の広さのハイセンスなスイートルームを考えれば、わずか数年の宿泊代で、一生住めるラグジュアリーな住まいを取得した計算になる。

インテリアセレクトができる新世代

 インテリアに目を向けてみると、リビングのソファは無印良品、ダイニングテーブルはイタリー製、フロアライトはフランク・ロイド・ライトなど。台所は合理性を重点にイケアのシステムキッチンを選び、食器はフランス、アピルコ社の業務用など、結婚後に買いそろえてきたものが大半だという。これらを見ると、住まいのアイテムは、納得すればブランドや価格に関係なくライフスタイルや好みに合わせてセレクトしていることがうかがえる。自分たちの価値観と美意識を大切にして、予算を最大限に生かした巧みなセレクトができる新しい世代といえそうだ。
 ご夫妻が住まいをつくるときの最大のモットーは、いつでも自由に友人が集まれる楽しい家であることだという。友人の中には外国人もおり、その点では玄関からのフラットな床は欧米式に靴を脱がずに入ってもらうことも可能で、2組のカップルを招いてハイヒールなど靴を履いたままの正装でホームパーティもできる。常に人が集い、会話やコミュニケーションを楽しむ二人のライフスタイルがうかがえ、住まいの中も人が集まる空間とプライベートな空間が上手に区分けされている。

ダイニングテーブルの先に見えるのはたて50cmよこ30cmのキッチンとの配膳カウンター。小さいが故にそれぞれの雰囲気を邪魔しない。

 入居から約1か月。実際に住んでみて奥さまが特に感じているのは、1、2階の空間構成が巧みで、それぞれがどの場所にいても快適なコミュニケーションがとれることだという。さらに、家事動線、休日などのくつろぎ動線、そして友人など訪問客のもてなし動線が、巧みに配慮されていることにとても満足されているようだ。また、ご主人によれば、訪問客が多い休日は、一日中、薪ストーブを焚いているという。暖房もさることながら、薪の炎が部屋の雰囲気そのものを暖かくするのがたまらなく良いそうだ。
 住まいづくりは、自分のライフスタイルをデザインする上で最も重要な要素のひとつである。今回お話しを伺った鈴木さんご夫妻は、グローバルな価値観にもとづいた住まいのイメージを早くから持ち、計画的に実現している。まさに、自分らしく都市を暮らす「ライフスタイル新世代」といえるのではないだろうか。